遺伝子型は子供にも受け継がれる!あなたのダイエットの必要性

それでは、親の肥満は、子へと遺伝するものなのでしょうか。
以下のような報告があります。

 

両親とも正常  →   子供の肥満10% 
父親が肥満   →   子供の肥満30%  
母親が肥満   →   子供の肥満70%  
両親とも肥満  →   子供の肥満80% 

 

これだけ見ますと肥満の原因の全てが、遺伝にあるように思えますが、
同じ報告では、子供が養子であっても、同じ割合で肥満となったとあります。
また、夫婦間では一方が肥満していると配偶者も肥満し、
家族が肥満だと、ペットまでもが肥満したそうです。

 

この報告では一見、親から子へ遺伝したかのように見える肥満も、
実はその生活環境に大きく左右される、ということを示しています。

 

しかしまた、一方では、一卵性双生児(同じ遺伝子を持つ双子)の方が、
二卵性双生児(違う遺伝子を持つ双子)より、
肥満の一致率が2倍も高かった、との報告もあります。

 

つまり、親から受け継いだ遺伝子の中に、「太る遺伝子」というものが存在し、
全く同じ遺伝子の一卵性だからこそ、
二卵性より肥満する確立が高かった、というわけです。

 

いずれにせよ、倹約遺伝子が、先祖代々受け継がれてきたように、
親の肥満が子に遺伝する可能性は高い、と言えます。

 

実際、医療分野でも両親の肥満は、
本人が肥満症の原因を判定する際の、指標になっています。
また、遺伝子検査による肥満治療も、はじまっています。

 

肥満遺伝子と新世界症候群とは?

 

日本の歴史を振り返ると、明治維新による急激な西欧化が、
肥満遺伝子の発現につながっています。
同じような歴史もつ民族が、急激に肥満化する例も多いため、
これを「新世界症候群」と呼びます。

 

もともと日本人は世界的に見ても、
倹約遺伝子を多く持っている民族、なんです。

 

けれども肥満そのものが多くなったのは、つい近年のことで、明治維新以降、
急速に西洋文明にさらされたことが、
遺伝子による肥満が発症する、原因となった、とされています。

 

同じような歴史を持つ、アメリカのピマ・インデアンという種族にも、
肥満や糖尿病が多いそうです。

 

こちらは、その方面の研究者にとっては、かなり有名なんだそうで、
このような現象を「新世界症候群」と呼びます。

これらの例から、倹約遺伝子は、持って生まれた運命というより、
生活環境によって肥満を誘発し、発現する、ということが分かっています。
一般に肥満の原因は「遺伝3割・環境7割」と言われています。

 

もし肥満の原因が遺伝子であったとしても、環境を改善しない限り
その体質は、子供へそのまま受け継がれることを、研究結果は示しています。

 

あなたがもし肥満で、それを解消するということは、
文字通り自分のためだけではない
ということが分かっていただけたかと思います。

 

また、私たち日本人の多くは、もともと太りやすい体質を持つ、
ということを自覚して、生活環境の改善を考えなければならないことも、
ご一考願えればいけません。

 

遺伝子型ダイエットとは?

 

上記までを調査したのは2006年6月頃のことでした。
そしてついにと言うか、わずか半年で
「遺伝子型ダイエット」はメジャーになりつつあります。

 

今まで肥満の種類は脂肪の種類とたまり方から、
2つに大別されていました。

 

1.リンゴ型肥満 (内臓脂肪型肥満) 男性に多く、お腹が太っている。
2.洋ナシ型肥満 (皮下脂肪型肥満) 女性に多く、下半身が太っている。

 

遺伝子型ダイエットでは、この肥満分類を肥満遺伝子
保持者のパーセンテージに主眼を置いて大別しています。

リンゴ型 β3-アドレナリン受容体遺伝子(β3AR)保持者

・日本人の34%が保有し、基礎代謝が1日200kcal低い。
・お腹が太っており、糖分の代謝が悪い。
・糖尿病、高脂血症、脂肪肝、などに要注意。

洋ナシ型 アンカップリングプロテイン遺伝子(UCP-1)保持者

・日本人の25%が保有し、基礎代謝が1日100kcal低い。
・下半身が太っており、脂肪の代謝が悪い、痩せにくい。
・がん、女性は子宮関係の病気に要注意。

バナナ型 β2-アドレナリン受容体遺伝子(β2AR)保持者

・日本人の16%が保有し、基礎代謝が1日200kcal高い、逆肥満遺伝子。
・ほっそりとしており、筋肉がつきにくい。一度太りだすと大変痩せにくい。
・心臓病、うつ病、低血圧、などに要注意。

従来との大きな違いは太れない「逆肥満遺伝子」を加えていることです。
本来ダイエットとは「健康のための適正な食事」という意味に相当します。
つまり、「やせすぎ」の人もダイエットして食事や運動を心がけるべきなのです。